ついてない
別れは突然やってくる。心の準備をする時間さえ与えてくれない。
そのことがよくわかる出来事があった。
最近の俺はついていなかった。
だけど昨日は、ある意味ついてた。
トイレの床にウンが散らかってた。
それを俺は踏んでしまった。
ウンはついたけど、運はついてなかった。
それはお墓参りをする前で、しかも食事を済ませた後。気分が死んだ。
一時間半も電車に揺られて酔っていた俺には、トイレに入らないという選択はなかったのだ。
まさに運命。
ウンを踏んだ靴で歩き続けていると思うと、お墓参りどころではなかった。
だからその靴は捨てた。
あいつとは長い付き合いだった。
余所見をして歩いていたら川にも落ちたし、まあこれ以上何があったかは思い出せないが、いろんなハプニングを一緒に乗り越えて来たんだ。
だが昨日のハプニングは別格だった。
俺にはハードルが高すぎた。
ごめんよ。
俺の心には、「今までありがとう」という余裕さえなく、親の仇のようにゴミ箱へ投げ捨てた。
安らかに眠れ。
一昨日のこと、俺は長崎ちゃんぽんを食べようとしていた。
ちょうど虫がブーンって飛んで来て、ちゃんぽんに入って死んだ。
一瞬思った。毒を盛られた、って。
まあとにかく、ついてなかった。